短詩文芸である冠句紹介


by kanku_575
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カテゴリ: やまざと誌( 26 )

やまざと No.596 八月号作品輯(平成22年)

芳冠録  橋本信水選(上位10句紹介)

 すべて吉  信じて生きる朝が来る   歌子

 すべて吉  一行にある父の戒     佐津子

 百日紅   流れる汗は歳の嵩     英子

 すべて吉  とことん填ってしまう賭け 早百合

 すべて吉  響き合う人に出会った日  初子

 百日紅   今年も鳴き切る油蝉    睦代

 すべて吉  清濁飲み込む大河とす   慶次

 百日紅   我が家の蝉を旅発たす   淑子

 百日紅   農夫彩雲見逃さず     萬郷

 百日紅   君を抱けばはにかみて   襷子

山麗抄   「メール来る」 浅田邦生選(三才五客)

 メール来る  満月の夜はただ一途    夕

 メール来る  山から海から届く声    佳津子

 メール来る  亡夫に貰う星月夜     風子


 メール来る  吐息こもらせ地下茶房   虚堂

 メール来る  数珠を袂にたつ始発    千秋

 メール来る  口では本音言えぬ人    厚史

 メール来る  動けぬ身体癒やす文字   直樹

 メール来る  嬉しいもので老いの恋   直樹

 選後感

 天「満月の夜」は、メールを受ける人の緊張感が的確に表現によって品位のある句になった。
 地「とどく声」は、メールの特性が生かされた広がりのある豊かな句。
 人「星月夜」は、冠題と附け句の関係が今ひとつ明確でないが、星月夜の追想が美しく
   切ない。

 集句を拝見して、附け句が冠題(あるいはメール)の説明に終わる句が多くみられたのは、
 日常生 活にメールが根差してしるとは言えない方が、多かったせいかも知れない。

山麗抄   「メール来る」 高階睦代選(三才五客)

 メール来る  ガンバレなどと言わぬ父  風子

 メール来る  節くれの手がふと語り   佐津子

 メール来る  やっぱり気に成る一人居を とみ子

 メール来る  父に一目置く息子     和子
 メール来る  亡夫に貰う星月夜     風子
 メール来る  やっばり宇宙の人だった  襷子
 メール来る  絆は太き記念の日     佐津子
 メール来る  もうハミングが止まらない 和子
 
 選後感
 冠題「メール来る」 いち早い電子伝達の戸惑いを感じ乍らも便利で確実さに動かされます。

 天位句 ほんの一行の中にも、相手に充分な思いやりの心を伝達する本意が伺い知れます。
 地位句 懸命に働いた太い指の先から、思いの丈が充分伝わってきます。
 人位句 一日一回来る元気メールは、やっぱりうれしいものです。

山映抄   「揺るぎなく」 深水虚堂選(三才五客)

 揺るぎなく  校碑に不滅の文字を読む  慶次

 揺るぎなく  生きざま語る鑿の跡    風子

 揺るぎなく  残像重さ愛も死も     祐子

 揺るぎなく  鎮魂の灯を基点とす    風子
 揺るぎなく  老化を遮断してる趣味   和子
 揺るぎなく  キャンドルライト視めてる 夕
 揺るぎなく  前へ前へ歩を進め     美則
 揺るぎなく  この友情は死の日まで   初子
 
 選後感
 一句十年と言われた時代に育った私は、今もって句会で一句選んで頂ければ御の字で帰る、
 欲のない道を歩んでいます。今回の「揺るぎなく」と言う冠題から附け句の取り合わせの、
 ものや言葉は「揺るがない」と言う意味を持つ単語や言葉を使った方が分かり易いのでは
 ないかと思います。不滅・鑿・残像・鎮魂・遮断・等特に飲酒に残り、三光、五客に選んで
 います。こらから先、発想の飛躍を期待すると共に、戦後の冠句史を一度学び直す必要が
 あるのではないかと思っています。

山映抄   「揺るぎなく」 平松直樹選(三才五客)

 揺るぎなく  やんわり照らす和蝋燭   怜子

 揺るぎなく  生きざま語る鑿の跡    風子

 揺るぎなく  苔生す詩碑の百の列    多津子

 揺るぎなく  ビクともしない父の背な  早百合
 揺るぎなく  次々盆の客ありて     依子
 揺るぎなく  男の背中燃えている    真弓
 揺るぎなく  家族が一つになる家訓   和代
 揺るぎなく  生きた証の農日記     咲枝
 
 選後感
 「揺るぎなく」百三十二句、有難うございます。
 暑さのせいか秀句ばかりで揺れに揺れての選となりました。
 天・古来より日本の灯りが人を照らし続けます。「やんわりと」...
 地・頑として譲らぬ父の背中を見続けて、逞しく生きていかれるのでしょう。
 人・人は悲しみにつけ喜びにつけ、昔も今も詩を愛し続けていくでしょう。

錦里抄   「里の盆」 田中歌子選(三才五客)

 里の盆    父母の存在身に沁みて   佐津子

 里の盆    やさしく迎う山と川    美則

 里の盆    満ち足りている笑い声   風子

 里の盆    語り継ぎおく佳き家訓   淑子
 里の盆    澄んだ詩情のある山河   風子
 里の盆    掛けた写真に歴史あり   紀美子
 里の盆    俺のルーツはここにあり  雄飛
 里の盆    家の献立変わらない    裕子

 選後感
 今年の夏は夜になっても暑い日がつづきました。里に帰ってのお盆は、自然も大きく
 父母の存在も大きいのは、皆同じ。久しぶりに過ごされた里の盆の様子をたくさん
 読ませて頂きました。

錦里抄   「里の盆」 佐野真弓選(三才五客)

 里の盆    欲を捨てろと蓮の花    玲子

 里の盆    想いを寄せる遠花火    佐津子

 里の盆    柱の傷がよくしゃべり   佐津子

 里の盆    五感歓喜の声あげる    和子
 里の盆    まだ笑み消えぬ残照か   好美
 里の盆    向日葵みれば母がいて   夕
 里の盆    断ち切れない至福酔う   すず
 里の盆    歩み行く道照らす亡母   かよ子
 
 選後感
 里の盆 132句いただきました。
 猛暑のお盆の帰省は、大変だったと思います。年に一度の大食事会、子や孫の笑顔に
 言葉はいらないとと思います。今年も元気で会えた喜び、本当に嬉しいものです。
 早朝の涼しさに身も心もほっとしています。

錦里抄   「里の盆」 森元喜代子選(三才五客)

 里の盆    五感歓喜の声あげる    和子

 里の盆    主役の遺影は微笑んで   多津子

 里の盆    魂集まり過去灯す     啓二

 里の盆    反る程畳干してあり    和代
 里の盆    絆たしかむ後幾度     咲枝
 里の盆    孫が肩貸す墓参り     慶次
 里の盆    語り継ぎおく佳き家訓   淑子
 里の盆    規制の風が身を焦がす   陸代子
 
 選後感
 里の盆 132句を勉強させていただきました。
 私には荷が重くて、他の二名の先輩さんに甘えさせてもらいたいと思います。
 私なりの選になりましたことお許しください。
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by kanku_575 | 2010-09-30 10:00 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯V-2

錦里抄  「曲がり角」松尾優葉選

 曲がり角  出会った風で今日がある    英子

 曲がり角  一輪の花温めて        佐津子

 曲がり角  いつ迄も母立ちつくす     早百合


 曲がり角  視点新たに舵をとる      福男

 曲がり角  大難小難呪文とし       多津子

 曲がり角  見えない飛び石見えてくる   すず

 曲がり角  キャッチボールのはずむ宵   襷子

 曲がり角  母の一語が信号機       慶次


 選後感

 「曲がり角」百三十一句、心して拝受致しました。
 お肌の曲がり角、恋の曲がり角、人生の曲がり角、色々と勉強させていただきました。

 天位句 うれしい風、厳しい風等に出会った人生路

 地位句 新芽の頃、蕾の頃、そして花が咲き。

 人位句 幾つになっても我が子の幸せを願う姿を見ます。

 秀句の見落としお許しくださいませ。

 優葉
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by kanku_575 | 2010-09-05 21:21 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯V-1

錦里抄  「曲がり角」足立襷子選

 曲がり角  流れる雲に追い着けず   千秋

 曲がり角  小さな嘘が走り出す    真弓

 曲がり角  まだ遅くない古希の坂   英子


 曲がり角  視点新たに舵をとる    福男

 曲がり角  漕ぎ手の見えぬ船に乗る  怜子

 曲がり角  男は涙持ち出さず     信水

 曲がり角  男ふんばる靴の音     好美

 曲がり角  男の沽券捨てきれず    風子


 選後感

 天位句 一歳加える度に、すーと乗れるのもが躊躇するようになり、
     つい乗り遅れたり。それが安全な道のひとつかも...

 地位句 説明するのがつい面倒になり、一寸の嘘を吐いてしまったのが
     本当となって広がり? おもしろい句と見ました。

 人位句 何時になってもそうありたいものです。

 襷子
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by kanku_575 | 2010-09-04 19:03 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅳ-2

山映抄  「チャイム鳴る」小俣紀美子選

 チャイム鳴る  幸せを呼ぶおそい春    福男

 チャイム鳴る  心ときめきはやる胸    さち

 チャイム鳴る  ラストチャンスにかける夢 さち


 チャイム鳴る  学友増えし喜寿の道    風子

 チャイム鳴る  電話の刻を違わずに    恵羊

 チャイム鳴る  笑顔で届く回覧板     福男

 チャイム鳴る  新任教師緊張す      英子

 チャイム鳴る  余生温む友が居て     佐津子



 選後感

 幸せを運ぶような来客のチャイムを上位に選びました。
最近、マンションで一人住まいの方は、玄関ドアーに鍵を二つ附ける人が多くなりましたが、
物騒な世の中になりました。

 紀美子
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by kanku_575 | 2010-09-02 21:27 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅳ-1

山映抄  「チャイム鳴る」太田垣裕子選

 チャイム鳴る  日々の平安今日もまた   雄飛

 チャイム鳴る  廃校舎まだ夢が有り    和代

 チャイム鳴る  行く道来た道滾らせて   睦代


 チャイム鳴る  豆靴一気に活気づく    睦代

 チャイム鳴る  自由の扉へまっしぐら   くにゑ

 チャイム鳴る  ラストチャンスにかける夢 さち

 チャイム鳴る  朝の清気が身をしめる   恵羊

 チャイム鳴る  電話の刻を違わずに    恵羊

 選後感

 「チャイム鳴る」を時の流れのひとくぎりととらえて上位句を選びました。
 入選句は、チャイムが鳴る現象に、反応する実態がそれぞれによく
 とらえられていました。

 裕子
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by kanku_575 | 2010-09-01 21:13 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅲ-2

山麗抄   「夫婦杖」守本好美選(三才五客)


 夫婦杖    深き轍が陽を抱く     恵羊

 夫婦杖    渡り切れたねこの橋も   風子

 夫婦杖    薔薇の棘は皆はずす    和子


 夫婦杖    あなたの色に染まった日  怜子

 夫婦杖    ゆっくり手を取り笑む羅漢 美保子

 夫婦杖    聞けば平和な妻の愚痴   怜子

 夫婦杖    阿吽の息の匙加減     夢月

 夫婦杖    点と線との蝶結び     夢月

 
 選後感

 夫婦で苦境に立ち向かい、うれしい事は分かち合う、夫婦の深い絆、
 苦労の先には、ぽかぽか平和が訪れます。
 選句を終えると丸くなったり、穏やかな夫婦像がそこに現われました。

 好美
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by kanku_575 | 2010-08-31 19:42 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅲ-1

山麗抄   「夫婦杖」小宮山初子選(三才五客)


 夫婦杖    孤愁を癒す道萌える    福男

 夫婦杖    少し距離おくことに慣れ  くにゑ

 夫婦杖    永久の誓いの杜若     佳津子


 夫婦杖    付かず離れず浮世旅    多津子

 夫婦杖    踏まれ寒さに耐える麦   ことゑ

 夫婦杖    深き轍が陽を抱く     恵羊

 夫婦杖    越せぬ坂なら明日にする  信水

 夫婦杖    慣れと惰性を見直す日   和代

 
 選後感

 天 青葉萌えるお散歩羨ましいです。

 地 少し離れていた方が仲よく居られるかも...

 人 杜若の淡紫が夫婦の年輪を想わせます。

 選者句

 夫婦杖    何日か何処へ消えし夫   初子
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by kanku_575 | 2010-08-30 21:19 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅱ

文芸塔運営同人昇格記念

緑映え   浅田邦生選(三才五客)

 緑映え    明日を夢見る蝸牛     恵羊

 緑映え    思い出つむぐ竹小径    初子

 緑映え    行く先決めた地図がある  厚史


 緑映え    寺町に消ゆ白日傘     くにゑ

 緑映え    夢を盛りたい城がある   とみ子

 緑映え    笑顔で返す乙女あり    よし子

 緑映え    老師の歩幅衰えぬ     恵羊

 緑映え    今日結婚の杖を置く    風子

 
 選後感

 天「蝸牛」は作者の想像の句というよりも、打ちに秘めた決意の表現。
 その視線の広がりが冠題によく照応している。

 地「竹小路」は繊細なまなざしが言葉の一つ一つに現れた美しい句。

 人「地図」はやや客観的なきらいがあるが、作者のつよい姿勢が句の
 落ち着きを生みだしている。
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by kanku_575 | 2010-08-29 16:44 |  やまざと誌
やまざと No.594 六月号作品輯Ⅰ

芳冠録  橋本信水選(上位10句紹介)

 血が騒ぐ  晩学ゆえに滾るペン    風子

 血が騒ぐ  わが愛鎮める術がない   千秋

 続く雨   何時召されるやこの生命  初子

 血が騒ぐ  消しても消しても付く残像 優葉

 続く雨   損をしたよな旅終わる   紀美子

 血が騒ぐ  女の杭は小さくも     好美

 血が騒ぐ  今走らねば消える虹    佐津子

 血が騒ぐ  献体させる印を捺す    淑子

 続く雨   痺れをきらす鍬の錆び   睦代

 続く雨  愚痴はとろ火で煮ています  和子
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by kanku_575 | 2010-08-22 21:28 |  やまざと誌
やまざと No.593 五月号作品輯Ⅴ

互選   「鶴の里」やまざと全員の選(上位10句紹介)

 鶴の里   天へ飛翔の風を待つ    優葉

 鶴の里   明日につなぐ輪がありて  真弓

 鶴の里   永遠に続けよこの平和   かよ子

 鶴の里   千羽に託す核なき世    直樹

 鶴の里   貫き通したその心     すず

 鶴の里   心ときめく理想郷     真弓

 鶴の里   皆んなで育てている誇り  信水

 鶴の里   悠々と老い満ちる川    恵羊

 鶴の里   春風が運んだよい噂    怜子

 鶴の里   一声父と似て厳し     咲枝
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by kanku_575 | 2010-08-07 21:34 |  やまざと誌