短詩文芸である冠句紹介


by kanku_575
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<   2010年 10月 ( 8 )   > この月の画像一覧

やまざと No.597 九月号作品輯(平成22年)

芳冠録  橋本信水選(上位10句紹介)

 地虫鳴く  執念の瞳次期目指す    小百合

 姿消す   どんどん遠くなる昭和   萬郷

 地虫鳴く  人のぬくもりある郷に   栄

 地虫鳴く  人間だけが懲りもせず   ひろ子

 姿消す   この世をすべて天寿せり  裕美

 姿消す   風より軽い骨拾う     夢月

 地虫鳴く  粘り強さで書く句稿    淑子

 姿消す   生きとし生ける業なれば  佐津子

 姿消す   根性の字が読めぬ子等   風子

 地虫鳴く  守り続ける痩せ畑     祐子

文芸塔賞記念

雲も秋  平松直樹選(三才五客)

 雲も秋   終わりが見えぬ道に立つ    優葉

 雲も秋   野良着茜の陽に染まる     風子

 雲も秋   錦はないが母が待つ      怜子

 雲も秋   締め直してる靴の紐      歌子
 雲も秋   画布に朱を足す未来地図    怜子
 雲も秋   故郷恋し祭り笛        初子
 雲も秋   我を呼んでる道祖神      美則 
 雲も秋   妙に気になる先のこと     和子

 選後感

 天位 困難な夢、治らぬ病などに立ち向かう、不断の意を感じます。

 地位 一生懸命生きてきた汗、「ごくろうさま」と声を掛けたい。

 人位 母に元気な姿を見せて安心させたいという、気持ちがすがすがしい。

山麗抄

眼が光る  藤原萬郷選(三才五客)

 眼が光る 父の背中は広かりき    和代
 
 眼が光る 菩薩も夜又も使い分け   夢月
 
 眼が光る 床のダルマに一喝され   好美

 眼が光る 躓いた石なにを指す    すず
 眼が光る 悪女になれぬ星の夜    優葉
 眼が光る 闘志燃やして炎の坩堝   初子
 眼が光る 不意を突かれた妻の槍   怜子
 眼が光る 黒光りした父の顔     とみ子

選後感
 「眼が光る」のとらえ方に、外からのものと自分の内側からと有ると思う。
 仁王門を思わせる句が三・四句有り、是はズバリ前者(外側)のとらえ方。
 後者の目線の佳吟が多かったと思う。

 二句の添削多謝。           萬郷


眼が光る  秋真琴選(三才五客)

 眼が光る 正論邪心を撥ね返す    風子
 
 眼が光る 王手のかかるその一手   小百合
 
 眼が光る 少年の夢一直線      慶次

 眼が光る タイトル狙う挑戦者    雄飛
 眼が光る 背信うずく仁王前     多津子
 眼が光る 譲れぬ一歩父の杭     睦代
 眼が光る さあ、どうなるか一騎打ち すず
 眼が光る いたずら好きな孫が来た  鹿の子

選後感
 難しい選でした。眼が光る、眼が潤む、眼が輝く、この違いは判りますが..潤むでも涙で光るとなれば、又、輝くも、光っているのだから、そのどちらでも光るまで良いのか...。とうとう締切日までなやんで、以上の選になりました。それと私などがしてはいけないと思い乍ら、少し替えてしまいました。作者の方には判って頂けると嬉しいのですが、一度原句と突き合わせてみて下さい。一生懸命やりましたが、つたない選で申し訳ありません。放蕩にご免なさい。
                                      真琴

山映抄

風だより  篠原和子選(三才五客)

 風だより 舵取り直す翁あり     欅子
 
 風だより 器の大きな人となる    和代
 
 風だより 明るいニュースとびこんで 裕美

 風だより 恋のうわさが飛んで来る  さち
 風だより 昔の恋人まだ一人     恒男
 風だより 醜聞拡がる里の葬     祐子
 風だより 気になる人の認知症    咲枝
 風だより 疲れ癒した峠茶屋     美保子

選後感
 太陽のいたずら好きも、お彼岸は覚えていた様です。やっと凌ぎよくなって参りました。
 これからは灯下に親しんで、沢山の冠句を作らねばと、意を強くしています。

 天位句 改造内閣が発足し、これからが期待されますが、地域にも必ず舵取りの上手な
     お年寄りは居ます。
 地位句 郷を離れて住んでいると、故郷のことが気になるものです。好きだった人の
     噂を聞いてほっとして...
 人位句 近頃は、悪いニュースばかりが耳に入ってきますが、明るいニュースはいいですね。

風だより  藤原小百合選(三才五客)

 風だより 山麓の故郷沈むとか    初子
 
 風だより 深い想いが今消える    萬郷
 
 風だより 共に学んだ友忍ぶ     英子

 風だより 器の大きな人となる    和代
 風だより 心揺らした人如何に    千秋
 風だより 上手く不況乗り越えて   真弓
 風だより 故郷に帰す人待ちわびる  好美
 風だより 海を渡りし友は今     美保子

選後感
 
 天 何とも言いようのないむなしさ淋しさ。
 地 ひそかに心の片隅に抱いていた想いを、断ち切る時が来た。
 人 振り返ればいろいろな想い出が錯綜する。

 有りがとうございました。

錦里抄

稔りの夜  田路和代選(三才五客)

 稔りの夜 農を誇りに生きる父    小百合
 
 稔りの夜 轍に重荷降ろす母     多津子
 
 稔りの夜 深き祈りを田の神に    くにゑ

 稔りの夜 豊穣の月揺るぎなく    睦代
 稔りの夜 翻弄されずきた人生    好美
 稔りの夜 女ごころを皿に盛る    英子
 稔りの夜 挫折繋いだ橋いくつ    佐津子
 稔りの夜 初心忘れずきた人生    佐津子

選後評
 農業もなかなか難しい時代です。
高齢による離農者や、耕作面積の制限により荒れた農地の多い中、「稔りの夜」で頑張って
居られる人達の多い事も、再認識出来た私です。
 父を詠まれた句が多いですが、地位の句の、長らく女手で守り抜いた農を、やっと後継者に
引き継がれて...。母への労いの気持ちに込み上げるものが有りました。

稔りの夜  山根風子選(三才五客)

天  稔りの夜 創傷いえし風呂溢る    恵羊
 
地  稔りの夜 初心忘れずきた人生    佐津子
 
人  稔りの夜 どの家も明るき灯を灯し  初子

客止 稔りの夜 耐えればきっと光ある   優葉
客2 稔りの夜 深き祈りを田の神に    くにゑ
客3 稔りの夜 豊饒の月揺るぎなく    睦代
客4 稔りの夜 頭下げたい人が居る    咲枝
客5 稔りの夜 父の笑顔は一級品     かよ子

選後評
日本の美しい原風景の稲田。しみじみと月に虫の音、酒に浸れる秋の夜長。「稔りの秋」120句
いただきました。三才は作者のお顔が思い浮かび、秀句十句は、それぞれの稔りへの感情がよく
伝わってきました。佳に順位はありません。十七句が、まるで連句の様に対句の様に呼応し合い
”やまざと”の大きなドラマが誕生いたしました。
楽しい選をさせて頂き、ありがとうございました。
                               風子

稔りの夜  藤中雄飛選(三才五客)

天  稔りの夜 おんなごころを皿に盛る  英子
 
地  稔りの夜 挫折繋いだ橋いくつ    佐津子
 
人  稔りの夜 祭りの孫を主座に於く   慶次

客止 稔りの夜 労働厭わなぬ父の背な   怜子
客2 稔りの夜 間違いなかった父の轍   佐津子
客3 稔りの夜 父の足跡確と継ぐ     英子
客4 稔りの夜 父の青春旅果てず     真弓
客5 稔りの夜 一合の酒父酔わす     真弓

選後感
殆んどの句が父、酒、収穫の喜びを表現した内容でした。天・地・人は視点のユニークさが
感じられ、特に天位は、奥行きが深く群を抜いています。
日本の農業問題に関する句が少ないのは、少し残念な気がしました。
                                   雄飛

互選「上り坂」 上位十句

四十二点  上り坂 どん底で見た陽の光り    信水
 
三十八点  上り坂 大樹は強く根を張りて    萬郷
 
三十七点  上り坂 躓く石のある覚悟      佐津子

三十四点  上り坂 父の背中を見失わず     とし子
三十三点  上り坂 靴紐しめる老いの意地    かよ子
三十一点  上り坂 息整える喜寿の朝      くにゑ
三十一点  上り坂 軌道に乗せたこの快挙    すず
二十八点  上り坂 夢へ一気に加速する     風子
二十八点  上り坂 決断迫る雲の峰       風子
二十八点  上り坂 後押す妻に応えねば     信水
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by kanku_575 | 2010-10-30 10:00 |  やまざと誌
第二十八回 久佐太郎句碑まつり(欠席投句の部)

「独りごと」  藤原萬郷 選  (三才五客)

独りごと  ゆったり生きたい青葉風  かよ子
独りごと  予定未定の積木ごと    多津子
独りごと  夜の安らぎが訪ずれず   栄春

独りごと  一身上の薔薇抱く     未知
独りごと  花と会話も日課とす    とよ子
独りごと  こぶしの中は何もなく   みゑ子
独りごと  まだまだ生きる野心連れ  怜子
独りごと  音もたてずに虹生まれ   喜美子
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by kanku_575 | 2010-10-20 01:00 |  久佐太郎句碑まつり
第二十八回 久佐太郎句碑まつり(欠席投句の部)

「曇りなく」  川上岳人 選  (三才五客)

曇りなく  揺るがぬ指針貫いて    金子
曇りなく  心静かに写経の巫     一三
曇りなく  試練に耐えた笑い皺    慶次

曇りなく  一度の人生媚びず生き   福男
曇りなく  努力は穂る喜びに     愛子
曇りなく  鏡しずかに身を諭す    すず
曇りなく  何を恐るる神ありて    雄飛
曇りなく  家族を写す母鏡      正子


...続く
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by kanku_575 | 2010-10-19 21:36 |  久佐太郎句碑まつり
第二十八回 久佐太郎句碑まつり(欠席投句の部)

「争わず」  篠原和子 選  (三才五客)

争わず   ただ一筋の道をゆく    美則
争わず   石一つ置く棚田水     栄春
争わず   うまく舵とる妻才女    喜代子

争わず   無欲になりて安堵する   一三
争わず   妻は黙って頷いて     とよ子
争わず   歳月人を丸くする     金子
争わず   互いに夢を持つふたり   みゑ子
争わず   かかえきれないありがとう かよ子



...続く
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by kanku_575 | 2010-10-18 23:14 |  久佐太郎句碑まつり
第二十八回 久佐太郎句碑まつり(欠席投句の部)

「ある絆」  午頭栄春 選  (三才五客)

ある絆   一本の川流れいて     金子
ある絆   巣立ちの跡に森の闇    明彦
ある絆   過去が聞きたい木の瘤に  怜子

ある絆   神木に添う蝉の殻     喜美子
ある絆   二人で唄った挿入歌    喜代子
ある絆   たんぽぽ優しく声かける  みゑ子
ある絆   情熱胸に雨の薔薇     初子
ある絆   借りて女の櫛匂う     定子



...続く
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by kanku_575 | 2010-10-17 21:14 |  久佐太郎句碑まつり
第二十八回 久佐太郎句碑まつり(欠席投句の部)

「風青し」  橋本信水 選  (三才五客)

風青し   白寿の手彫り佛笑う    弘法
風青し   悔いなく老いて農に帰す  一三
風青し   上昇気流に乗せる凧    金子

風青し   一人一人に空のあり    喜美尾
風青し   泣いた分だけすがすがし  雄飛
風青し   歩く電話に追い越され   みゑ子
風青し   老いの坂道丸く押す    多津子
風青し   孤を愛ほしむ孟宗竹    栄春


...続く  
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by kanku_575 | 2010-10-16 16:04 |  久佐太郎句碑まつり
姫路冠句会10月会員作品輯(平成22年)

孤独な日   花一輪の青こくて      真弓
孤独な日   妻恋う詩の数増える     淑子
孤独な日   君への想い風になれ     まゆみ
孤独な日   脳の空白句がつつく     愛子
孤独な日   一と言聞いて距離を知る   哲子
孤独な日   陰さえ奪ってゆく夕日    恵羊

己が道    曲り曲って川になる     襷子
己が道    布石一つを糧とする     直樹
己が道    師のうたごころ極まで    信水
己が道    心に枯れぬ赤い花      風子
己が道    向かい風ならそれも良い   優葉
己が道    余生ふんばる八十の坂    一三
己が道    重荷がいつも追ってくる   怜子
己が道    苦労と思えし日は過ぎて   あゆみ
己が道    バトンを託す人がいて    雄飛

気軽さに   信用と云う福がある     依子
気軽さに   隣の味噌をまた借りる    和子
気軽さに   古希の同窓皆はしゃぎ    美代子
気軽さに   心の余裕もてばいい     さよ子
気軽さに   捺した拇印が徒になる    夢月
気軽さに   無言で歩く廃線路      美保子
気軽さに   受けた恩義が圧し掛かる   恒男
気軽さに   気付けば一線越していた   真琴
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by kanku_575 | 2010-10-09 13:00 |  姫路冠句会会員作品輯
姫路冠句会 10月例会輯 平成22年10月9日(土) 姫路広峰公民館

孤独な日   橋本信水選(三才五客)

天  孤独な日   陰さえ奪ってゆく夕日   恵羊

地  孤独な日   温む術なき月の人     直樹

人  孤独な日   脳の空白句がつつく    愛子

客止 孤独な日   君への想い風になれ    まゆみ
客2 孤独な日   磐石ならぬ杭と知る    風子
客3 孤独な日   思慕へ再起の捻子を巻く  夢月
客4 孤独な日   妻恋う詩の数増えて    淑子
客5 孤独な日   心に宿す星ひとつ     風子

 選者句
  孤独な日   切れてた電話の惜しいこと   信水
  孤独な日   炊けば憎らし斑の飯      信水
  孤独な日   父母の位牌を拭き清め     信水

己が道  秦谷淑子選(三才五客)

天  己が道    師のうたごころ極むまで  信水

地  己が道    布石ひとつを糧とする   直樹

人  己が道    心に枯れぬ赤い花     風子

客止 己が道    土の匂いが満ちる四肢   恵羊
客2 己が道    重荷がいつも追ってくる  怜子
客3 己が道    向かい風ならそれも良い  優葉
客4 己が道    季節外れのさくら咲く   哲子
客5 己が道    苦労と見えし日は過ぎて  まゆみ

 選者句  
己が道    悔い残すまじ古巣の灯   淑子
  己が道    1本筋が通ってる     淑子

気軽さに  足立欅子選(三才五客)

天  気軽さに   押した拇印が徒となる   夢月

地  気軽さに   気付けば一線越えている  真琴

人  気軽さに   今日高砂の橋渡し     信水

客止 気軽さに   受けた恩義が圧し掛かる  恒男
客2 気軽さに   川の深さを知らぬまま   優葉
客3 気軽さに   棘ある言葉返される    淑子
客4 気軽さに   隣の味噌をまた借りる   和子
客5 気軽さに   無言で歩く配線路      美保子

 選者句
  気軽さに   笑えば苦し膝くりげ    欅子
  気軽さに   誤解されいる故郷訛    欅子
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by kanku_575 | 2010-10-09 10:00 |  姫路冠句会例会作品輯