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短詩文芸である冠句紹介


by kanku_575
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姫路冠句会 5月会員作品輯(平成23年)

みどり濃し 燃えつきるまで詩紡ぐ   和子
みどり濃し 陽と戯れる山の精     夢月
みどり濃し 老いという殻脱ぎ捨てる  一三
みどり濃し 幸せ叫ぶ時鳥       恵羊
みどり濃し 長年かけた歩き初め    さよ子
みどり濃し 大木と地蔵が神神しく   美代子
みどり濃し 五月の貴公子微笑んで   恒男
みどり濃し 軌道に乗った子の便り   淑子

新名所   我に美しいばら道     優葉
新名所   バスを乗りつぎ寺の苔   あゆみ
新名所   種まき呉れる知識人    愛子
新名所   黄泉の国への切符買う   雄飛
新名所   駅が一気に光る街     直樹
新名所   ここぞとばかり旬を盛る  厚史
新名所   たぐればてっかい命縄   欅子
新名所   人よりも一歩切り開く   裕美

朝の幸   洗濯物に風光る      哲子
朝の幸   優しく響く古時計     怜子
朝の幸   平凡だけど今が好き    真弓
朝の幸   湯気立ちこめて母の味   風子
朝の幸   若葉取り込むかご重し   忍
朝の幸   季節動かす木の芽和え   信水
朝の幸   茶摘みの歌聞く駅に立つ  美保子
朝の幸   新茶の香り部屋中に    まゆみ
# by kanku_575 | 2011-05-14 13:00 |  姫路冠句会会員作品輯
姫路冠句会 4月会員作品輯(平成23年)

春雷に   日本列島震えさす     真弓
春雷に   何の予兆か嗅ぎ分ける   雄飛
春雷に   逆立ちしている女傘    夢月
春雷に   地獄を見たよな爪の跡   恒男
春雷に   お腹の胎児足でける    依子
春雷に   偽善の罪をつぐなえり   欅子
春雷に   心の時めきもて遊ぶ    美保子
春雷に   ぼちぼち農の鍬を持つ   直樹
春雷に   我に返れば主婦になる   優葉
春雷に   親父の一喝ふと恋し    真琴

もの芽吹く 負けない心夢開く     哲子
もの芽吹く やさしい風につつまれる  裕美
もの芽吹く 水車の記憶回り出す    怜子
もの芽吹く 友が繰りいる時刻表    淑子
もの芽吹く 耕転黒き土香る      恵羊
もの芽吹く 靴箱にあるラブレター   和子
もの芽吹く 誉め育てるは母心     愛子
もの芽吹く 次代を背負うランドセル  一三

瞳が笑う  別嬪さんと褒める祖母   風子
瞳が笑う  君と生きると決めたから  まゆみ
瞳が笑う  快方に向かう主人見る   さよ子
瞳が笑う  鏡見ながら明日生きる   あゆみ
瞳が笑う  極楽とはこの溢れる湯   信水
瞳が笑う  小さな紳士一年生     美代子
瞳が笑う  ダルマの片方いつ入れる  厚史
# by kanku_575 | 2011-04-09 18:37 |  姫路冠句会会員作品輯
姫路冠句会 3月会員作品輯(平成23年)

沈丁花   落した青春が歩き出す   恵羊
沈丁花   残り火未だ燃えている   和子
沈丁花   昨日の愁い陽にかざし   優葉
沈丁花   元気な産声待ちわびる   まゆみ
沈丁花   女将の気品が座をしめる  欅子

誰を待つ  濡れているのか女雛の瞳  風子
誰を待つ  幸せ願いブーケ飛ぶ    哲子
誰を待つ  毛糸遊ばす丸い母     真弓
誰を待つ  ベンチにひと葉忘れ霜   あゆみ
誰を待つ  雪まだ消えず椿燃ゆ    信水
誰を待つ  姉女房がよいと聞く    依子
誰を待つ  慰霊碑仰ぐ彼岸墓地    直樹
誰を待つ  窓の玉霧つつと落つ    淑子
誰を待つ  真綿にくるむ恋なれど   雄飛

しのび泣き 誰にも言えぬ母ごころ   さよ子
しのび泣き 誰にも見せず胸借りる   裕美
しのび泣き 終雪待ちわびぶ村はさび  美保子
しのび泣き 夫の遺稿をよみ返す    夢月
しのび泣き 月がてらした帰り道    美代子
しのび泣き 亡夫恋う心あふれ出し   一三
しのび泣き ふと古弓の音 浮かび来る 愛子
しのび泣き 尖った背中を撫でてやり  怜子
しのび泣き 波音静か霧に消え     さよ子
しのび泣き 母を葬う身ひとつ     呑洲
しのび泣き 波音静か霧に消え     恒男
# by kanku_575 | 2011-03-12 13:00 |  姫路冠句会会員作品輯
姫路冠句会 2月会員作品輯(平成23年)

旅の酒   二人の道がある限り    真弓
旅の酒   お国訛りに胸開く     一三
旅の酒   まだまだ現役退かす    まゆみ
旅の酒   雪見障子のひなび宿    美保子
旅の酒   心の根雪ゆらり解け    優葉
旅の酒   騒いでいるがふと寂し   淑子
旅の酒   人それぞれに又明日    無骨
旅の酒   愚痴の捨て場所湖と決め  欅子
旅の酒   君子豹変女抱く      雄飛

幼な友   阿修羅の哀か征ったまま  怜子
幼な友   思いのほかに言える仲   裕美
幼な友   里に残るは吾れと道    直樹
幼な友   濁りなき川背に豊か    恵羊
幼な友   青いレモンの味今も    恒男

ただよいて 風しか知らぬ風のみち   夢月
ただよいて 真綿のような雲に乗り   愛子
ただよいて 含み笑いの花言葉     哲子
ただよいて 山の便りか笹の舟     あゆみ
ただよいて 満月ですね朝の影     美代子
ただよいて 亡夫との語り冬銀河    風子
ただよいて 里に尽して従兄弟逝く   さよ子
ただよいて 施設に贈る春一番     信水
ただよいて 花菜とうたう昼の月    和子
ただよいて 無知を恥じずに考える   依子
# by kanku_575 | 2011-02-12 13:00 |  姫路冠句会会員作品輯
姫路冠句会 12月例会輯 平成22年12月11日(土) 姫路広峰公民館

薄氷   橋本信水選(三才五客)

天  薄氷     私の遺書を封印す       淑子

地  薄氷     定年迄を数えゐる       風子

人  薄氷     変わりないかと母の手紙    一三

客止 薄氷     星影一つままならず      欅子
客2 薄氷     はずした指輪の跡わびし    欅子
客3 薄氷     一葉の紅儚くも        直樹
客4 薄氷     私の心にベール張る      優葉
客5 薄氷     片減り靴を磨く妻       風子

 選者句
  薄氷     友禅長し色冴えて       信水
  薄氷     母の新漬け人気出る      信水


原稿紙   平松直樹(三才五客)

天  原稿紙    空白埋める文字がない     真弓

地  原稿紙    ほのかに匂う春の湖      欅子

人  原稿紙    感涙しぼる原爆忌       信水

客止 原稿紙    横目に山茶花散り急ぐ     欅子
客2 原稿紙    廃校の道細々と        恵羊
客3 原稿紙    ペン胼胝うずく昭和の記    夢月
客4 原稿紙    折れたるペンの夢削る     欅子
客5 原稿紙    老いのつぶやきペンの先    一三

 選者句
  原稿紙     放浪の旅終わりなく     直樹
  原稿紙     文豪望む青き文字      直樹
  原稿紙     花に例えし生きる幸     直樹


とどかない   山根風子(三才五客)

天  とどかない  追えども追えども父越せず   和子

地  とどかない  抵抗をせぬ葦になる      怜子

人  とどかない  師の足跡の海遠き       恵羊

客止 とどかない  焦れど逃げてゆく詩魂     恵羊
客2 とどかない  沈めた過去が浮いてくる    怜子
客3 とどかない  好きが残った花なのに     淑子
客4 とどかない  揺るがしたきは母の塚     直樹
客5 とどかない  どこで遮断機降りたのか    優葉

 選者句
  とどかない  潤んで見えぬ信子星      風子
  とどかない  対の湯呑みが潰される     風子
# by kanku_575 | 2011-02-10 23:57 |  姫路冠句会例会作品輯